Ultimate Breaks & Beats – Vol.2 収録曲、全部並べてみた。
2024年10月20日
改めて浮かび上がった「太いビート至上主義」
UBBにおけるシリーズ収録曲は全部で178曲。
コンパイラーによる選曲の意図・志向に近づくべく、タテに「リリース年」、ヨコに「ジャンル(その楽曲自体を筆者が私物レコードやYoutubeを駆使して改めて聞いてみて受けた印象・判断なので、一般的な評価とは異なる可能性大いにあり)」を取って、これら収録曲をプロットしてみたのがコチラ。
※情報量の多さから文字が恐ろしく小さくなっているので、PCでは各自拡大の上ご確認を。「Ctrl」と「+」を一緒に押すと拡大出来ます。
「リリース年」で見ると、1966年のJoe Texが一番古く、1984年のFonda Raeが一番新しい曲ということに。
これに「ジャンル」の観点を加えてカウントしてみると、「70年代の作品を中心に、Funkが一番、Rock・Soulがその次に多く選ばれている」という、全くもって誰もが想像する域を出ない結果となった。
しかも、二番手となった「RockやSoul」のほぼ全てが「ファンキーなRock、太いSoul」だったという結果は、個人的には、この「ジャンル・年代別分析」に大きな意味は無かったのかも…ということ以上に、HipHopなる音楽ジャンルにおいて、この「太いビート」がその骨格を成していった様を体感させてもらったことの意義の方が大きかった。それは「ある時期のドープなHipHopのビートって、ホントにこのコンピが基準になっているんだな」という感慨でもある。
■シリーズのジャケット・デザインはKevin Harrisによるもの
【引用】Discogs(画像押下で当該サイトへ)
俯瞰から湧き出る興味
ただ、UBBのリリースが行われた5~6年の間には、収録曲のジャンルが変化していることも見て取れた。
シリーズ中盤までは、ゴリゴリのドラム・オリエンテッドな楽曲が並ぶものの、それ以降はエレクトロやフュージョン、終盤にはニュー・ウェーヴやメロウなソウルものが若干ながら収められており、この流れは、ヒップホップのトラック・メイキングにおけるトレンドの変遷とも符合するように思える。
また、「米国由来でないアーティスト」がかなり含まれていることは、なんとなく想像してはいたものの、アルバム制作には漕ぎ着けず、7インチシングルのみのリリースとなっている楽曲は多いし、現在に至っても「リリース年」すら明確化されていないような、相当マニアックというか、カルトな作品も含まれていることは興味深い。「コレ、親のレコード棚から掘り起こしたんだぜ!」「ヤベェじゃん!なんて曲?」「それは教えられねぇな!」といった会話が聞こえてくるような、Rareなビートを希求したDiggin’なる行為へのある種のロマンも込みで、当時のNYにおけるレコード流通事情にも興味をそそられる。
一方で、ReggaeやLatinの世界からのエントリーが無いことも気になった。Kool Hercはジャマイカ人だったワケだし、NYは当時からラティーノ・コミュニティだって大きかったハズだが、このコンピへの収録曲としては「ラテン・ロックが相当数確認されるのみ」だったことからも、「ビートはファンキーであることが大前提」という強いポリシーを感じざるを得ない。
あとは、当時のHipHopがほぼ収められていないことも、不思議と言えば不思議。生演奏が多かったはずの当時のオールド・スクールなHipHopにだって「良いビート」はあったはずだが、これはDiscoものの収録が極端に少ないこととも共通する何かがあるような気がするが、現時点で筆者の思考は結論に届いていない。
このコンピが「新ネタを発掘したのか」それとも「既に支持を集めていたネタを集めたのか」。
実際のところ、どんな視点・プロセスでこのコンピが編まれたのかについては、コンパイラー等による具体的な発言が確認出来ておらず、明らかではない。
しかしながら、このUBBに関しては、「新たなシリーズが発売されると、お祭り騒ぎで2枚購入したぜ!」「トラック・メイキングのために、UBBはテスト・プレスの段階でサンプリングしていた」といった有名DJの発言があるわけで、そんなところからは、「HipHopを未来へと繋げる牽引役」としても機能していたことは確かなようだ。
■UBBに関する詳細データ(収録曲名等)はこちらで確認
https://www.discogs.com/ja/label/807847-Ultimate-Breaks-Beats?page=1
【出典】
noblue
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全曲並べる作業は、なかなかにヘヴィーでしたが、色々と勉強になりました。
「そりゃ、そうだわな」って結果も多かったですが…。