Mushup!!
- ②世界を揺らすフロアバンガー -
2025年4月30日
前回は、マッシュアップというミックス手法を(本ブログ流に)定義付けしつつ、その黎明期に生み出された音源たちを辿ってみましたが、今回は90年代以降に、クラブミュージックとしての位置づけを手にしたマッシュアップ作品に焦点を当ててみたいと思います。
90年代のクラブ・ミュージックの幕開けを小粋に飾るこちら、トラック上で異なる歌が乗せられている、という点で文句なしのマッシュアップでしょう。
■Beats International“Dub Be Good To Me”(1990)
:SOS Band“Just Be Good To Me” × Clash“Guns Of Brixton”
引用された2曲の間には、ジャンルとしての距離感があるにも関わらず、これを違和感なくミックスした形で「楽曲化」してしまっている手練手管には、センスしか感じません。Norman Cook恐るべし!であると同時に、「演奏によるマッシュアップ」の完成形といえそうです。
2000年代に入ると、マッシュアップは「逃げも隠れもしない」、それ自体がスターダムに上がる存在となります。こちらは、そういった事象を顕著に表すであろう出来事。
■Kylie Minogue“Can’t Get Blue Monday Out Of My Head”(2002)
:Kylie Minogue“Can’t Get You Out of My Head” × New Order“Blue Monday”
2002年の「ブリット・アワード」でのKylie Minogueによるパフォーマンス模様ですが、使う方も使われる方も、まさしくハレの日に堂々とお披露目されているワケで、世界からのマッシュアップへの目線というか、立ち位置というものが大きく変わった瞬間といえるのではないでしょうか。
そして、その数年後、マッシュアップの「スターダム化」は更に進みます。
■Madonna“Music Inferno”(2006)
:Madonna“Music” × Tramps“Disco Inferno”
こちらは、2006年にMadonnaが自身のツアーの中で披露したパフォーマンスの様子ですが、彼女がこの時期標榜していたディスコティークなアプローチをド派手に用いた事例として、(あまりキレは感じさせない「トラボルタ・ダンス」含め)なかなかのインパクトかと。
そして、マッシュアップを語るにあたり、2 Many DJsは外せないでしょう。1992年に結成されたベルギーの兄弟DJデュオですが、彼らの「マッシュアップ普及」における貢献度は計り知れないと思われます。
■2 Many DJs“Smells Like Booty”(2002?)
:Destiny’s Child“Bootylicious” × Nirvana“Smells Like Teen Spirit”
■2 Many DJs“Stooshit”(2002?)
:Salt-N-Pepa“Push It” × Stooges“No Fun”
■2 Many DJs“Beatles Vs Kraftwerk”(2008?)
:Beatles“Eleanor Rigby” × Kraftwerk“Numbers”
彼らの営みには、ブート感というか悪戯っぽい視線もたっぷりですが、その仕上がりで元曲の持ち主を黙らせるどころか、面白がらせてしまったあたりに、「ゲーム・チェンジャー」な存在感を感じずにいられません。先に触れたメジャー・アーティストたちがマッシュアップに接近してきた際の「空気感」みたいなものは、このふたりの存在が成した部分は大きかったように思います。彼らは、こんな調子で次々と異なる楽曲を混ぜ合わせ、それをDJミックスしたブツをリリースしています。
そして、時間を更に現在を引き寄せてみると、Bill McClintockの名が出てきます。彼には「マッシュアップのマエストロ」との異名が。
■Bill McClintock“Electric Sex Machine”(2023?)
:James Brown“Sex Machine” × Judas Priest“Electric Eye”
■Bill McClintock“Super Rock Hard”(2023?)
:Aretha Franklin“Chain Of Fools” × Black Sabbath“Supernaut”
彼は、黒人音楽とハードロックという、ある意味で対極の、それもかなり距離感があるハズのジャンルをグチャっと一緒にして、キッチリ「ハマってるじゃん」「成り立っちゃってるじゃん」という驚きをもたらすことの出来るお人。しかも、「YouTuber」だってのが、なんとも今っぽい。
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マッシュアップの面白さに迫る本ブログ企画、今回はその「クラブミュージックとしての市民権獲得期」にフォーカスしてみましたが、いかがでしたでしょうか?
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