世界の音楽クリエイター列伝
 - Thomas Dolby㊦ - 

 

 

プロデューサーやミュージシャンを問わず、音楽の世界で光を放った才能に迫るブログ企画です。

 

 

この企画では、取り上げられた人物のバイオグラフィーを辿りながら、関わった作品を可能な限りご紹介。掲載されたジャケ写等をClick!していただくことで、リンクされた「アイテム投稿」のページでその作品のさらに詳細な情報を確認しながら、ネット動画の力を借りて実際に視聴も出来ます!

 

 

記念すべき第1弾は、Thomas Dolbyにフォーカスしています!

 

 

1985年は、それまでの多角的な活動が実を結び、Thomas Dolbyという存在を一躍スターダムに押し上げた年と言えるのではないでしょうか。

 

この年には、そんなことを思わせる「晴れの舞台」が、いくつか続きます。

 

まず、グラミーの授賞式典では、「シンセサイザーの功績」を伝える場面が設けられ、そこでStevie Wonder、Herbie Hancock、Howard Jonesと共に、Thomas Dolbyが“彼女はサイエンス”をチラッと演奏していました。画像を見つけたので、置いておきます。

 

 

そして、ライヴ・エイドのステージ・パフォーマンスでは、David Bowie Bandに参加。Bowieの“Heroes”をバッキングしていました。こちらも当時の画像がありましたので、ご確認を。

 

 

そしてこの1985年には、プロデュース業の方も、まさに広角打法とでもいうべき仕事ぶりを見せます。

Thomas Dolbyは、George Clintonのアルバム「Some Of My Best Jokes Are Friends」で、一部の楽曲をClintonと共同プロデュースしていましたが、これも恐らくDolby’s Cubeでの共演が伏線となっているものと思われます。

 

click! George Clinton「Some Of My Best Jokes Are Friends」。Thomasは、タイトル曲でGeorgeやDoug Wimbishと共同プロデュース。

 

 

また、この年には、Joni Mitchell「Dog Eat Dog」の制作に参加。

先ほど触れたように、ThomasはJoniのファンだったワケで、そんな中での共演は彼にとっても「念願」であったハズですが、レコーディング作業の進め方で意見が合わず、ふたりはぶつかり合うことになってしまったとか…。

 

click! Joni Mitchell「Dog Eat Dog」。Thomasのプロデュースにより、彼女の作品としては異例となるエレクトリックなアプローチに。

 

 

加えて、この年のThomasの活動には、Prefab Sproutのセカンド・アルバム「Steve McCqueen」のプロデュースがあることも忘れられません。

Prefab Sproutは、Paddy McAloonのエヴァーグリーンなソングライティングと、瑞々しさ満点のバンド・アンサンブルが最大の魅力ですが、このグループ自体をスターダムへと押し上げたのは、シングル・カットされた“When Love Breaks Down”であることに異論はないでしょう。

本作のギターには、またもやKevin Armstrongの名がクレジットされていることも無視できません。

 

click! Prefab Sprout「Steve McQueen」。Thomas Dolbyによるプロデュース。ネオアコの代表作であり、“Love Breaks Down”はここ日本でもヒット。

 

1988年になってからのThomasは、グループ3作目となる「From Langley Park To Memphis」もプロデュース。前作までどことなく感じられた「殻」を破ったかのような明るさと漲る自信は、アルバム・トータルとしての質感であり、実際シングル・カット曲のチャート上の動きとしても、“The King Of Rock’N’Roll”がUKチャート7位まで上昇、これはバンドとして最高位となっています。

アルバムには、ゲストとしてPete TownshentStevie Wonderが参加。こんな布陣からも、本作でこのバンドが一流然りとした光を放ったことがわかるのではないでしょうか。

 

click! Prefab Sprout「From Langley Park To Memphis」。Thomas Dolbyが一部でプロデュースし、バンド史上最大のヒットに。

 

個人的に、このPrefab Sproutとの仕事は、Thomas Dolbyという「立体パズル」を構成する極めて重要なピースと考えています…というか、間違いなく「青春の一枚」です!

 

 

翌1986年には、坂本龍一とのコラボにより、シングル“Field Work”をリリース。

時よりArt Of Noise的なアプローチを感じさせつつ、さながら「テクノ界の教授と博士によるテクノ合戦」的なサウンドは、今聴いても結構楽しめるように思います。

 

click! 坂本龍一“Field Work”。Thomas Dolbyがフィーチャリングされており、制作にもあたっている。

 

 

そして1988年には、Thomas Dolbyのサード・アルバムとなる「Aliens Ate My Buick」が発表されます。

 

click! Thomas Dolby「Aliens Ate My Buick」。サード作。George Clintonが参加。

 

この作品は、それまでの2作品とは対照的に、高い熱量が存分に外へと向けられた作りとなりました。「ファンク」がテーマとなっていると思しきアルバム全体を支配する高カロリーな仕上がりは、Dolby’s Cubeでの共演に続き本作にも参加しているGeorge Clintonの存在も大きい気がします。

 

 

 

1980年代までのThomas Dolbyの軌跡は、この辺でひと段落付きますが、今振り返っても、この1988年あたりの彼の活動のバリエーションというか、振れ幅みたいなものには凄いものがあったなぁと改めて。

 

というのも、自身の「Aliens Ate My Buick」Prefab Sproutの「From Langley Park To Memphis」の制作がほぼ同時並行に進んでいたワケで、敢えていうなら「音楽表現としての表出感の強さ」を共通項として挙げられなくはないものの、根っこの違う音世界をThomasが自由に行き来する様を見るにつけ、やっぱりこの頃の彼の「引き出しの多さ」には感服せざるを得ない気がするのです。

 

 

1990年代以降も、Thomasは決して多くはないものの、着実にアルバムを発表してきました。

 

1992年の「Astronauts & Heretics」では、なんとEddie Van Halen、そしてOfra Hazaなんて名のクレジットが目に飛び込んできますが、

その後の2006年に発表したThe Sole Inhabitant2011年の「A Map of the Floating City」まで3作品は、アルバム全体に、エレクトリックな手法が丁寧に織り込まれており、筆者の所感としては「変わってないな、Thomas」といったものでした。

 

 

2000年代に入ると、Thomasは、何度か来日しステージを披露してくれました。この模様はCDやDVDとして発表されていますが、ダイジェストでネット上に残っていましたので、ご確認を。

 

 

 

ところで、ハナシは大きく変わりますが、Thomas Dolbyには「起業家」としての側面があることは、ご存じでしょうか?

1990年代に入り、Thomasはアメリカに移住。そしてなんと、シリコン・バレーにインターネット向けの技術開発をする会社:Beatnikを設立ノキアの携帯電話向けの呼び出し音の開発をしていたようなんです。採用された携帯端末は、なんと5億台とも!

ネット上には、Beatnikが開発したと思しき呼び出し音がいくつか残されていたので、ここに置いておきます。

 

 

Thomasは、この世界で「インターネット音楽生涯功労賞」を、一方で音楽の世界からはMoogやRolandといった電子楽器メーカーからも表彰されています。

 

 

言うまでもなく、音楽の世界は、様々な要素が絡み合っています。

例えば、ロックとブラックミュージック、英国的なるものとアメリカンなもの、陰と陽、演者というフロントと制作側としてのバック…これらは、それぞれがはっきりと、その世界観を分けているはずですが、このThomas Dolbyという人は、そこを股にかけ、軽やかに飛び越えてしまう、稀有な音楽家です。

そして、そういった彼の活動を支えているのは、電子楽器、広い意味でのエレクトロニクスという武器であることも、お分かりいただけると思います。

 

ただ、彼は「技術に頼る、委ねる人」でないことも確かでしょう。

ミュージシャンとしてのキャリア初期に出会った「バンド仲間」の何人かは、つい最近の彼の作品にまで登場しますし、そもそも「起業」までして成功も収めているワケです。

こんな経緯からは、Thomas Dolbyがある種の「人たらし」なのかもしれない、という想像もかき立てさせます。

 

 

貴方にとって、Thomas Dolbyはどんな人ですか?

 

 

 

<画像を押下すると、それぞれの商品に関する投稿ページが閲覧出来ます>

 

 

 

音楽の世界で光を放った才能に迫るブログ企画の第1弾は、Thomas Dolbyを取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか?

 

 

 

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関連するブログへは、以下からアクセス出来ます。

世界の音楽クリエイター列伝 - Thomas Dolby㊤ - 

世界の音楽クリエイター列伝 - Thomas Dolby㊥ - 


						

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