世界の音楽クリエイター列伝
- Allen Toussaint㊦ -
2026年2月12日
プロデューサーやミュージシャンを問わず、音楽の世界で光を放った才能に迫るブログ企画です。
この企画では、取り上げられた人物のバイオグラフィーを辿りながら、関わった作品を可能な限りご紹介。掲載されたジャケ写等をClick!していただくことで、リンクされた「アイテム投稿」のページでその作品のさらに詳細な情報を確認しながら、ネット動画の力を借りて実際に視聴も出来ます!
第2弾として、Allen Toussaintにフォーカスしています!
ここでは、Allen Toussaintとロック・フィールドとの関わりに触れていきたいと思います。
Toussaintが行った、ロック系アーティストのプロデュース/参加作はもちろん、ロック・アーティストによるToussaint作品のカヴァーといった動きを「Toussaint詣で」とし、可能な限り紹介したいと思います。
1970年代のToussaintは、ロックにおける「アメリカーナ」の動きに強く関わっていました。
「アメリカーナ」とは、カントリー、フォーク、ブルース、ゴスペル、R&Bといったアメリカのルーツ音楽へ回帰する機運を指します。
そもそもToussaint自身がニュー・オリンズのルーツ音楽の一端を担っていたワケですが、彼の場合、興味深いのは、その活動領域がロック方面へも及んでいたこと。
そんなToussaintとの浅からぬ関係を持ったグループとして、まずはアメリカン・ルーツロックの雄:The Bandの名を挙げなくてはならないでしょう。
1971年にリリースした「Cahoots」の冒頭曲“Life Is Carnival”には、Allen Toussaintが参加。なんとも不思議な、そして一度聴けば病みつきになるファンク・サウンドを展開してくれています。
The Bandは、1960年代にカナダで結成されたロック・バンドで、Bob Dylanのバックを務めた「アメリカーナ・バンド」の代表格。現在は解散していますが、解散時のライヴ模様が、映画「The Last Waltz」として残されています。
この作品後、1973年にはカヴァー集となる「Moondog Matinee」をリリースしており、そこではLee Dorsey“Holy Cow”を取り上げていますね。
一方、Allen Toussaintは、Van Dyke Parksという重鎮をキーマンに、ロックの世界に確かな足跡を残すことにもなります。
具体的には、Van Dyke ParksがLowell GeorgeにToussaintやMetersを紹介、Lowellがニュー・オリンズの音楽に強い興味を持つに至った、ということのようです。
Lowell George率いるLittle Featが1973年にリリースしたのが、3rd作「Dixie Chicken」。
ここでは、Toussaintのアルバム「Life, Love and Faith」に収められていた“On Your Way Down”が取り上げられています。
このアルバムには、いわゆる「セカンドライン・ビート」が大胆に導入され、その結果充満することとなったアメリカの南部臭には、「そこにToussaintは本当に居なかったのか?」と思ってしまうほど。
なんでも、Little Featは、前2作が商業的な低迷に終わり、本作の制作にあたってはメンバーを一新したようです。
そんな状況下での、本作でのニュー・オリンズへの急接近…バック・メンバーにはニュー・オリンズ勢となるミュージシャンも招聘されていることからは、本ブログの2回目で取り上げたLaBell同様、「困った時のニュー・オリンズ」的な図式が見えてくる気がするのは筆者だけでしょうか?
そして、本作リリースの翌年、本ブログの1回目でも触れた通り、Lowell GeorgeはMetersの「Rejuvenation」に参加、ついにToussaintと実際に仕事を共にすることとなります。
そして、Lowell GeorgeとAllen Toussaintの間に存在した強い磁場は、UKのRobert Palmerをも引き寄せることになります。
Robert Palmerはそれまでバンドに所属していましたが、そこを脱退、Toussaintがニュー・オリンズに建てた新しいスタジオで、Lowell GeorgeやMetersらと共に、ソロ・デビュー作「Sneakin’ Sally Through The Alley」を制作します。
本作には、Lee Dorseyのカヴァーがタイトル曲として、加えてToussaint“From A Whisper To A Scream”のカヴァーが収められています。
また、Robert Palmerは1978年の「Double Fun」でも“Night People”をカヴァーしていますね。
余談ですが、筆者のAllen Toussaintの世界とのファースト・コンタクトは、このあたりだった記憶があります。
その後、Little Featを解散したLowell Georgeは、1979年にソロ・アルバム「Thanks I’ll Eat It Here」を発表。
ここで彼は、Toussaintの“What Do You Want The Girl To Do”を、そしてLittle Featの“Two Trains”をカヴァー。
改めて、Toussaint、そしてニュー・オリンズへの思慕を表明する中、今一度ルーツロックの存在感を世に問うような作品を上梓しますが、本作リリース後しばらくして、Lowell Georgeはドラッグの服用が原因と思われる心臓のトラブルで急逝してしまいます。
1974年には、Bonnie Raittが「Streetlights」で“What Is Success”をカヴァー。
そして、1975年にはなんとWingsの「Venus And Murs」に参加。
一部の楽曲が、ニューーオリンズのToussaints所有のスタジオで録音され、曲の提供やピアノ演奏という形でゲスト参加しています。
このアルバムでは、「Paul節」というか、「ほぼBeatlesワールド」な音の重なりの中で、確かにToussaintのものとわかる陽気なピアノの音色が聴こえてくるという、なかなかにスペシャルな経験が出来ます。
同じ1975年には、ISISなるグループの2nd作「Ain’t No Backin’ Up Now」をプロデュース。
彼女たちは、NYを拠点に活動する女性10人編成のロックバンドですが、本作でのToussaintはホーン・セクションを随所で起用、なかなかにファンキーな仕事を提供しています。
このバンドは、その後もアルバムを発表、その際はToussaintとの連携は解かれている一方で、BT ExpressやDr. Buzzard’s Savannah Bandといった様々なグループによるライヴでのフロント・アクトを務める等、ブラック・ミュージックへの接近度は高まったようでしたが、肝心のセールス面での成果は芳しくなかったようで、1970年代後半には解散に追い込まれました。
1974年には、Boz Scaggsが「My Time」で“Freedom For The Stallion”を、1976年には、「Silk Degrees」で、Lee Dorseyの“What Do You Want The Girl To Do”を次々とカヴァー。
1977年には、Glen Campbellが「Southern Nights」で、タイトルであの曲をカヴァー。
1978年には、Joe Cockerの「Luxury You Can Afford」をプロデュースしています。
多くのミュージシャンが、自らの出自を音楽に反映、もしくはその音楽自体が地域性から生み出されるケースも多いと思われます。
ローカルであることはそれ自体が個性になり、大きな武器にもなるワケで、Allen Toussaintが中心となって切り開かれた「セカンドライン・ファンク」というご当地サウンド、そして“Southern Nights”という特別な楽曲が放つ光は、アメリカのみならず、海を越えて、多くのアーティストたちを眩しく照らしました。
でも、ここで少し不思議に思うのが、Toussaint自体にそういった「武器」への執着があまり感じられないこと。
1960年代に備えた武器が永遠に有効かといえば、確かにそうではないとも思うのですが、1970年代以降に次々と見せた彼の「変わり身の早さ」とも思える「新機軸」からは、Toussaintがかなりの「フットワークの軽さの持ち主」「新し物好き」であることを表しているような気もするのです。
ローカルであることを最大の強みにして、世界中のリスナーとアーティストたちを引き寄せつつ、自らはそこに安住することなく、新たな部屋の扉を開いていく。
その際の軽やかな振る舞いこそが、彼のミュージシャンとしての面白さであるような気がしています。
貴方にとって、Allen Toussantはどんな人ですか?
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音楽の世界で光を放った才能に迫るブログ企画の第2弾は、Allen Toussaintを取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか?
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