Above The Rest!
- Nike CORTEZ㊤ -
2025年6月8日
スニーカーの銘品・傑作にフォーカスし、歴史や文化的背景も織り交ぜながら、その魅力に迫るブログ企画。
この企画の目玉のひとつは、取り上げたスニーカーを画像で確認出来ること。これを実現するにあたっては下北沢のヴィンテージ・スニーカー・ショップ:somaさんにご協力をいただいています。世界に誇るsomaアーカイブを通じて、偉大なるスニーカーたちのストーリーをよりリアルに体感して下さい!
ということで、第3弾となる今回は、NikeのCORTEZ(コルテッツ)を取り上げたいと思います!
このランナー向けのシューズを取り上げることは、必然的にNikeの創業に触れることになります。そしてその物語の入口には、Phil Knight、Bill Bowerman、鬼塚喜八郎という3人の男たちが立っています。
Phil Knightが大学の卒業旅行で日本に赴き、その中でオニツカタイガー(現アシックス)の「安いのに高性能」なシューズに巡り合います。彼はその品質にいたく感激、旅行中であるにも関わらず、オニツカ社長であった鬼塚と面会し、アメリカでの販売代理店契約を結ぶに至りました。
Philはアメリカ帰国後、陸上競技のコーチでもあったビルと共同でブルーリボン社(BRC)を設立。オニツカのシューズを販売するだけでなく、オニツカに対し様々な提案を実施することで、単なる「代理店契約」の域を超えた強固な関係を構築していきました。
こういった良好な関係性の中で、CORTEZは当初「オニツカタイガーのシューズ」として生まれたのでした。
しかしながら、PhilとBillが、BRCとして念願だった自社開発に踏み切ったあたりから状況が一変。
オニツカとの契約を解消後、1972年に「オニツカにおいてBill Bowermanのアイデアで生まれたCORTEZ」とほぼ同じ仕様のシューズを製造、同じCORTEZの名で、自社ブランドとなるNikeの商標とスウォッシュマークを付けて販売を開始しました。
しかも、BRCは自社からCORTEZを販売していくにあたり、その製作をオニツカのライバル会社だった日本ゴム(現在のアサヒシューズ)に委託するという選択をしました。
このことで両社が対立、BRCがオニツカを訴えるという事態に発展しました。
裁判の結果はBRCの勝利。オニツカが和解金を支払ったのみならず、「CORTEZ」の商標権はNikeのものとされ、オニツカはそのモデル名を「コルセオ」に変更することを余儀なくされたのでした。
そして、「NikeのCORTEZ」は、オニツカ製のものより「安価で高品質」だったことで大ヒットとなり、創業後のNikeの躍進を支えるアイテムに。
因みに、このCORTEZというモデル名の由来ですが、PhilとBillがオニツカでこのシューズを開発した際、本当はAZTEC(アステカ)という名を付けたかったらしいのですが、adidasが既にアステカの名を使用していたため、「アステカを滅ぼしたスペインの征服者の名」を冠したとされています。
このお話は専ら、Nikeによるadidasへの剥き出しの対抗心を表すものとして受け止められていますね。
CORTEZは、ナイロン、レザー、スエードという3種の異なる素材で展開されました。
冒頭Nikeのオニツカとの物語の中心が「レザー製のCORTEZ」だったことをふまえ、ここではまず、レザー製から触れてみようと思います。
LEATHER CORTEZは、1972年に日本製として販売が始まりました。この頃のモデルにおいては、ベロ部にあるNikeのロゴが筆記体で表記されています。
なお、「最初期となるものは、1971年に台湾で作られたものだ」とする説を見かけますが、これについては諸説あるようです。
また、70年代中期からは日本と並行し、台湾や米国でも生産が開始されました。
その後、1970年代後半以降はベロ部のロゴが「ゴシック体」で表記され始めます。
一方、この時期に日本ではNike Japanが設立され、日本独自企画となるLEATHER CORTEZ DELUXEが展開されました。「何がデラックスなのか」という問いに対しては、「使われる革が上質になったという説がある」ということを紹介できるのみで、本当のところは判っていません。
こちらは、当時「スウォッシュマークが赤いのは女性的」とイメージされていたらしく、黒いスウォッシュ仕様で販売されたLEATHER CORTEZ DELUXEです。
1980年代に入ると、ベロ部のロゴが「単色」表記となりますが、その他には大きな仕様変更はなかったようです。
ただ、日本ではLEATHER CORTEZ DXⅡが展開されるという独自の動きが見られます。このモデルでは、カラーリングのバリエーションがかなり広がったことがわかります。
と、この辺でレザー製についての記事を締め括ろうと思ったのですが、somaさんのアーカイヴをチェックする中で、こんなモデルを発見しました。
これ、ブラジル製らしいんです。
「1980年代以降は、生産国もカラーリングのバリエーションも増える」という話はよく聞くのですが、これは初見でした!
<画像を押下すると、それぞれの商品に関する投稿ページが閲覧出来ます>
ここまで、CORTEZが生まれた背景やレザー製のモデルにフォーカスみましたが、いかがでしたでしょうか?
次回は、引き続きCORTEZにフォーカスし、ナイロン製やスエード製を追ってみますので、お楽しみに!
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