Above The Rest!
 - Nike CORTEZ㊤ - 

 

 

スニーカーの銘品・傑作にフォーカスし、歴史や文化的背景も織り交ぜながら、その魅力に迫るブログ企画。

 

この企画の目玉のひとつは、取り上げたスニーカーを画像で確認出来ること。これを実現するにあたっては下北沢のヴィンテージ・スニーカー・ショップ:somaさんにご協力をいただいています。世界に誇るsomaアーカイブを通じて、偉大なるスニーカーたちのストーリーをよりリアルに体感して下さい!

 

ということで、第3弾となる今回は、NikeのCORTEZ(コルテッツ)を取り上げたいと思います!

 

 

このランナー向けのシューズを取り上げることは、必然的にNikeの創業に触れることになります。そしてその物語の入口には、Phil Knight、Bill Bowerman、鬼塚喜八郎という3人の男たちが立っています。

 

Phil Knightが大学の卒業旅行で日本に赴き、その中でオニツカタイガー(現アシックス)の「安いのに高性能」なシューズに巡り合います。彼はその品質にいたく感激、旅行中であるにも関わらず、オニツカ社長であった鬼塚と面会し、アメリカでの販売代理店契約を結ぶに至りました。

Philはアメリカ帰国後、陸上競技のコーチでもあったビルと共同でブルーリボン社(BRC)を設立。オニツカのシューズを販売するだけでなく、オニツカに対し様々な提案を実施することで、単なる「代理店契約」の域を超えた強固な関係を構築していきました。

こういった良好な関係性の中で、CORTEZは当初「オニツカタイガーのシューズ」として生まれたのでした。

 

これが、オニツカが販売していたTiger Cortez。サイドのデザインを除けば、Nike版と作りがほぼ一緒と判る。

 

しかしながら、PhilとBillが、BRCとして念願だった自社開発に踏み切ったあたりから状況が一変。

オニツカとの契約を解消後、1972年に「オニツカにおいてBill Bowermanのアイデアで生まれたCORTEZ」とほぼ同じ仕様のシューズを製造、同じCORTEZの名で、自社ブランドとなるNikeの商標とスウォッシュマークを付けて販売を開始しました。

しかも、BRCは自社からCORTEZを販売していくにあたり、その製作をオニツカのライバル会社だった日本ゴム(現在のアサヒシューズ)に委託するという選択をしました。

 

このことで両社が対立、BRCがオニツカを訴えるという事態に発展しました。

裁判の結果はBRCの勝利。オニツカが和解金を支払ったのみならず、「CORTEZ」の商標権はNikeのものとされ、オニツカはそのモデル名を「コルセオ」に変更することを余儀なくされたのでした。

 

そして、「NikeのCORTEZ」は、オニツカ製のものより「安価で高品質」だったことで大ヒットとなり、創業後のNikeの躍進を支えるアイテムに。

 

因みに、このCORTEZというモデル名の由来ですが、PhilとBillがオニツカでこのシューズを開発した際、本当はAZTEC(アステカ)という名を付けたかったらしいのですが、adidasが既にアステカの名を使用していたため、「アステカを滅ぼしたスペインの征服者の名」を冠したとされています。

このお話は専ら、Nikeによるadidasへの剥き出しの対抗心を表すものとして受け止められていますね。

 

 

 

CORTEZは、ナイロン、レザー、スエードという3種の異なる素材で展開されました。

 

冒頭Nikeのオニツカとの物語の中心が「レザー製のCORTEZ」だったことをふまえ、ここではまず、レザー製から触れてみようと思います。

 

 

LEATHER CORTEZは、1972年に日本製として販売が始まりました。この頃のモデルにおいては、ベロ部にあるNikeのロゴが筆記体で表記されています。

なお、「最初期となるものは、1971年に台湾で作られたものだ」とする説を見かけますが、これについては諸説あるようです。

 

日本で生産が開始されたLEATHER CORTEX。ベロ部のロゴ表記は「筆記体」

 

 

また、70年代中期からは日本と並行し、台湾や米国でも生産が開始されました。

 

 

その後、1970年代後半以降はベロ部のロゴが「ゴシック体」で表記され始めます。

 

ロゴ表記が「ゴシック体」に

 

一方、この時期に日本ではNike Japanが設立され、日本独自企画となるLEATHER CORTEZ DELUXEが展開されました。「何がデラックスなのか」という問いに対しては、「使われる革が上質になったという説がある」ということを紹介できるのみで、本当のところは判っていません。

 

日本独自企画のLEATHER CORTEX DX。スウォッシュが黒い!

 

こちらは、当時「スウォッシュマークが赤いのは女性的」とイメージされていたらしく、黒いスウォッシュ仕様で販売されたLEATHER CORTEZ DELUXEです。

 

 

1980年代に入ると、ベロ部のロゴが「単色」表記となりますが、その他には大きな仕様変更はなかったようです。

 

こちらは台湾製だが、ロゴの「単色表記」化は、世界的な動きだった。

 

 

ただ、日本ではLEATHER CORTEZ DXⅡが展開されるという独自の動きが見られます。このモデルでは、カラーリングのバリエーションがかなり広がったことがわかります。

 

LEATHER CORTEZ DX2のグレー×赤

 

ブルー×ネイビー

 

ネイビー×ブルー!

 

 

と、この辺でレザー製についての記事を締め括ろうと思ったのですが、somaさんのアーカイヴをチェックする中で、こんなモデルを発見しました。

 

ブラジル製のホワイト・ブルー!

 

これ、ブラジル製らしいんです。

「1980年代以降は、生産国もカラーリングのバリエーションも増える」という話はよく聞くのですが、これは初見でした!

 

 

<画像を押下すると、それぞれの商品に関する投稿ページが閲覧出来ます>

 

 

ここまで、CORTEZが生まれた背景やレザー製のモデルにフォーカスみましたが、いかがでしたでしょうか?

 

 

次回は、引き続きCORTEZにフォーカスし、ナイロン製やスエード製を追ってみますので、お楽しみに!

 

 

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Above The Rest! - Nike CORTEZ㊦ - 

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