Above The Rest!
- adidas STAN SMITH㊦ -
2025年5月5日
スニーカーの銘品・傑作にフォーカスし、歴史や文化的背景も織り交ぜながら、その魅力に迫るブログ企画です。
第2弾では、adidasのSTAN SMITHを取り上げています!
前回では、STAN SMITHが生まれた背景や「STAN SMITH HAILLET」と呼ばれた初期モデルを辿ってみましたが、今回は、STAN SMITHの1980年代以降の変遷を、そのデザイン等で可能な限り追ってみたいと思います。
この企画の目玉のひとつは、取り上げるスニーカーを画像で確認出来ること。これを実現するにあたっては下北沢のヴィンテージ・スニーカー・ショップ:somaさんにご協力をいただきました。世界に誇るsomaアーカイブを通じて、偉大なるスニーカーたちのストーリーを体感して下さい!
1980年代に入ってからもフランスでの生産は続きますが、ベロに描かれたStan Smith氏のイラストが、いわゆる「若顔」というパターンに変わっている点は、デザインの印象として捉えるに、大きな変更点でしょうか。
ただし、80年代においてそれ以外に大きな仕様変更はないようです。
フランス製のSTAN SMITHのカラーリングは「白いボディに緑のベロと踵」がお馴染みと思われますが、「白のボディにベロや踵部分が「ネイビー・レッド・グレー」となっているものも存在し、これらはかなりレアだと思われます。
このSTAN SMITHのカラーリング・パターンに対しては、adidas独自に、赤:レッド、紺:ニュー・ネイビー、緑:フェイアウェイという名前を付けているとか。
加えて、80年代には「キャンパス地のStan Smith」が発売されたり、1983年にadidasとSmith氏の契約が一時期切れた期間には「STAN SMITH表記なしのSTAN SMITH」が存在したりといった珍品の存在が語られていますが、残念ながら筆者としては実物の確認は出来ていません。
世界中で履かれる大ヒットスニーカーとなったSTAN SMITHですが、当然、製造量を増やす必要もあったはずで、70年代後半以降はフランスと並行しスペインでも製造されていたようです。
一方で、90年代に入ると「フランス製を騙った偽物」が出回り始めるので、注意喚起も含め、ここでベロの仕様に着目しておきたいと思います。
偽物を掴ませられないためのポイントは「ベロ」にあります。
まずは「made in france」の表記があることを確認しましょう。
ただ、この表記が省略された本物も稀にあるようなので、「made in france」の表記が無い場合には、ベロ上部の「adidas」と「三つ葉マーク」の右上に記された「Rの文字(レジスター・マーク)」を確認しましょう。これが、この画像よりも大きくなっているものは、偽物であることを疑っておくべきと思われます。
また、シューズ内部に「商品番号やサイズを示す金文字」があるか、についても大事なポイントです。
ベロに「made in franceの表記が無い」「Rの文字がデカい」、シューズ内部に「金文字」が無い、という状況が揃ってしまっているブツは偽物である可能性が極めて高い、ということになりそうです。
そして、ついにフランスでの生産が1988年に終了します。ただその後も、アメリカ、カナダ、モロッコ、台湾で製造は継続されてきました。
このうちアメリカ製については、ボディ自体のカラーリングが「赤・黒・緑」のバリエーションで展開されていたようです。
「adidas originals」ブランドの立ち上げ、数多くの復刻やコラボレーション、サスティナビリティを意識したモデルの発売……1990年代以降は、SUPERSTARでも触れたのとほぼ同様の事柄が、このSTAN SMITHにも展開されます。
ただこの間も、基本的に「STAN SMITHはSTAN SMITH」という立ち姿みたいなものが大きくは崩れていない気がします。
我々は、「白スニ」の名品としてのパワーを借りて、自らのコーディネーションに「洗練」というワンポイントを加えてきたワケでこの営みは、今後も続くような気がするワケです。
逆に「STAN SMITHがテニス・シューズとして生まれた」ことすら知らない人々も多いのでは!なんてことを思ったりもしますが、そんなことはお構いなしに、このSTAN SMITHはファッション・アイコンとしての歴史を刻み続けるのでしょう。
そんなスニーカー、他に無いと思います。まさに「Above The Rest!」な存在といえるのではないでしょうか。
<画像を押下すると、それぞれの商品に関する投稿ページが閲覧出来ます>
「スニーカーのマスターピース」にフォーカスするブログ企画の第2弾は、STAN SMITHを取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか?
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ところで、このブログ企画のタイトル「Above The Rest!」の由来については、お気づきでしょうか?
このブログ企画の第1弾にも登場したNBAプレイヤーのカリーム・アブドゥル・ジャバーが、1976年にadidasと契約し「Tournament」というモデルを発売しました。
その際に使われたキャッチコピーが「HEAD-AND-SHOULDERS ABOVE THE REST!」だったのです。
これを直訳すると「頭も肩も他人の上にある」となりますが、このキャッチコピーでは、ジャバーの必殺技「スカイフック」が「高い位置からのシュートだったため極めて防ぐのが難しかった」ことに例えられたようです。そして、一般的には「際立っている」「群を抜いている」という意味に使われることもあるようですね。
本ブログは、「スニーカーの銘品・傑作」たちに登場してもらう企画ですので、そのアイテムの「際立っている」様をうまくお伝え出来れば、という思いを込めて、タイトルに拝借しました。
ということで、次回もお楽しみに!
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