Above The Rest!
 - adidas/Nike/PUMA Tennis Shoes㊦ - 

 

 

スニーカーの銘品・傑作にフォーカスし、歴史や文化的背景も織り交ぜながら、その魅力に迫るブログ企画です。

 

 

第8弾では、adidas・Nike・PUMAのテニス・シューズを取り上げています!

 

 

 

 

前回は、テニスの大会が開催された場所の地名を冠したモデルを中心に取り上げてみましたが、今回は、引き続きadidas・Nike・PUMAにフォーカスし、名プレイヤーたちのシグニチャー・モデル等を、可能な限り追ってみたいと思います。

 

 

この企画の目玉のひとつは、取り上げるスニーカーを画像で確認出来ること。これを実現するにあたっては下北沢のヴィンテージ・スニーカー・ショップ:somaさんにご協力をいただきました。世界に誇るsomaアーカイブを通じて、偉大なるスニーカーたちのストーリーを体感して下さい!

 

 

テニス・シューズの世界では、シグニチャー・モデルが早くから展開されていました。

ここからは、テニスの歴史を飾った名プレイヤーたちの名を冠したモデルたちに登場していただきます。

 

 

まずは、Rod Laver(ロッド・レーバー)から。

 

 

オーストラリア出身のRod Laver。小さな身体で力強いフォアハンドを放つことから“ロケット・レーバー”と呼ばれた。全豪オープンの会場名は「ロッド・レイバー・アリーナ」。

 

 

Rodは、1960年代に活躍1年の中で四大会を制覇する「真のグランド・スラム」を、生涯になんと2度も達成した、オーストラリア出身のレジェンド・プレイヤーです。

 

adidasが彼の名を冠したROD LAVERを発売しています。

 

 

click! 1970年に登場したRod Laver。ナイロンに包まれた、クラシックな意匠が印象的だが、adidasのスリー・ストライプが無い!

 

 

ROD LAVERは、アッパーにナイロンメッシュが使われたモデルで、その軽さと通気性の良さから、当時の日本ではSTAN SMITHと並んで愛用者が多かったとされています。

また、「adidasのスニーカーでありながら、スリーストライプが無い」という大変珍しいモデルでもあります。

 

 

次に、John Newcombe(ジョン・ニューカム)

 

 

オーストラリア出身のJohn Newcombe。ウィンブルドン、全米、全豪は制覇しているが、全仏だけは制覇できず。

 

 

彼は、1960年代~1970年代前半に活躍したオーストラリアのプレイヤーで、全米・全豪・ウィンブルドンでは何度か優勝を勝ち取っていたようなのですが、クレー(赤土)のコートが苦手だったようで、全仏だけは制覇できなかったようです。

 

こちらは、adidasが発売した彼のシグニチャー・モデル:NEWCOMBEになります。

 

 

click! adidasのNEWCOMBE。スリー・ストライプがパンチングで描かれています。こちらはフランス製。

 

 

少し前には、このモデルのアッパーとROD LAVERのソールを合体させたモデルがリリースされていましたね。

 

 

そして、Wilhelm Bungert(ウィルヘルム・ブンゲルト)

 

 

西ドイツのWilhelm Bungert。1960年代後半、ウィンブルドンやデビス・カップで活躍した。

 

 

Wilhelmは、1960年代~1980年代に活躍したドイツ人プレイヤーで、ウィンブルドンやデビス・カップでファイナリストになっています。

 

前回も触れた通り、adidasからは、WIMBLEDONというモデルにWilhelm Bungertの名が併記されたものが登場していましたが、それ以外に、WILHELM BUNGERTというシグニチャー・モデルも発売されています。

 

 

click! adidasのWILHELM BUNGERT。STAN SMITHのようなアッパーに、SUPERSTARのようなトゥーが特徴。こちらは西ドイツ製。

 

 

 

上記以外には、PUMAからもWILHELM BUNGERTというモデルが発売されていたようですね。そちらは1960年代のモデルになるようなので、歴史的にはこちらが先輩格になるかと。

(※現物を確認出来次第、アップします)

 

 

最後に、Ilie Nastase(イリー・ナスターゼ)を。

 

 

ルーマニアのIlie Nastase。全米・全仏を制覇した名プレイヤーだが、コート上での暴言・モノマネに留まらず、試合のキャンセルまでやらかした。

 

 

Nastaseは、主に1970年代に活躍したルーマニア人で、全米と全仏を制覇していますが、コート上でのマナーや独特の振る舞い(要するに「癇癪持ち」)から“Nasty Nastase”のニックネームを持っていました。

 

adidasからは、1970年代中期にNASTASEという名のシグニチャー・モデルが登場しています。

 

 

click! adidasのNASTASE。シュータンに描かれたご本人の自画像は、ある意味STAN SMITHのそれより印象度強し。こちらはフランス製。

 

 

彼は当初、Nikeと契約していましたが、その契約を1年で解消してadidasと契約を結び、その関係は1990年代まで続きました。

彼の名が付いたモデルは他にも、「NASTASE MASTER」「NASTASE SUPER」「NASTASE CUP」「NASTASE SPECIAL」といったものも存在していたようです。

 

 

 

adidasはこの他に、Arthur AsheのARTHUR ASHEを、PUMAは、Boris BeckerのB. BEKKER WINNER、Guillermo VilasのGV SPECIALといったシグニチャー・モデルをリリースしています。

(※これらについては、現物確認出来次第、速やかにアップさせていただきます)

 

 

そしてここからは、ルールや道具といったテニス用語がネーミングされたモデルをいくつか。

 

adidasからは、TIE BREAKが。

 

 

click! adidasのTIE BREAK。モデル名は「同点による延長戦」に由来。

 

 

TIE BREAKは1980年代のモデルで、テニス・シューズとしては珍しくスリー・ストライプが色入りで入ったデザインとなります。

 

 

Nikeからは、MATCH POINTRACQUETTEが。

 

 

click! 1970年代後半に登場したNikeのMATCH POINT。アッパーにはナイロンメッシュが使われ、トゥーはレザーとなっている。こちらは日本製だが、米国ではVEGASというモデル名。

 

 

click! NikeのRACQUETTEは、女性向けに開発されたもの。

 

 

MATCH POINTは、KILLSHOTをベースに、アッパーにナイロンメッシュを使ったモデルとして1970年代後半に登場しました。

RACQUETTEは、WINBLEDONをベースにレディース向けに作られたモデルです。

 

 

PUMAからは、MATCHなるモデルが登場しています。

 

 

click! PUMAのMATCH。こちらもトレードマークがパンチングで描かれています。

 

 

MATCH1970年代に登場したモデルですが、1970年代のクラシック・コート・シューズ:MATCH 74がベースとなっています。

 

 

 

「白スニ」の巣窟を形作るテニス・シューズの魅力を語るには、やはり「機能美」に触れることは避けられないでしょう。

ここでいう「機能美」とは、コート形状を始めとする様々な環境下で「プレイヤーを勝利へと導くための機能」もさることながら、「テニス・シューズをテニス・シューズたらしめた」大きな要因は、「コート上では、基本的に白いシューズを履かなくてはならない」旨の規定や格式にあるのではないかと思うのです。

ある意味で「縛り」といっても良いであろう「デザイン上の前提」に「白であれ」があることで、テニス・シューズは、他の競技とは大きく異なるデザイン上の変遷を辿ってきた気がします。

 

一方で、これは他のモデルの回でも触れてきたことですが、「競技用のシューズ」から「ファッション・アイテムとしてのシューズ」に位置づけが変わっていく中で、「白であれ」などという縛りからは解かれ、自由にカラーリングが成されていきます。

 

しかしながら、これは完全なる私見になりますが、自由闊達にカラーリングされた現代の数あるスニーカーの中にあってこそ、「競技用としてデザイン上の縛りを受けていた時代のテニス・シューズ」は、そのミニマルな魅力を輝かせているように見ています。

こういった点に、筆者が「白スニ」に惹かれる理由があるような気もしています。

 

 

 

 

<画像を押下すると、それぞれの商品に関する投稿ページが閲覧出来ます>

 

 

 

「スニーカーのマスターピース」にフォーカスするブログ企画の第8弾は、テニス・シューズを取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか?

 

記事の下にあります「コメント欄」に感想をいただけると、担当「中の人」の励みになりますので、是非よろしくお願いします!

 

また、「このスニーカーを取り上げて欲しい」というリクエストもお待ちしております。筆者の力が及ぶ限りではありますが、お応えしたいと思っています!

 

 

ということで、次回もお楽しみに!

 

 

 

 

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