Above The Rest!
 - adidas/Nike/PUMA Tennis Shoes㊤ - 

 

 

スニーカーの銘品・傑作にフォーカスし、歴史や文化的背景も織り交ぜながら、その魅力に迫るブログ企画。

 

この企画の目玉のひとつは、取り上げたスニーカーを画像で確認出来ること。これを実現するにあたっては下北沢のヴィンテージ・スニーカー・ショップ:somaさんにご協力をいただいています。世界に誇るsomaアーカイブを通じて、偉大なるスニーカーたちのストーリーをよりリアルに体感して下さい!

 

ということで、第8弾となる今回は、adidas・Nike・PUMAのテニス・シューズを取り上げたいと思います!

 

 

 

 

個人的な話にて恐縮ですが、私は専ら「白いスニーカー」を推しておりまして。

きっかけは、やはりSTAN SMITHになるのですが…

見ているだけで楽しいカラーリングはスニーカーなるものを味わう際の醍醐味である一方で、「白スニ」故のミニマルな意匠は、その細かな作りや技術の妙を際立たせるものであって、追いかけるに値する強い魅力があるように思っています。

それに、ファッション・アイテムとして、とても心強い存在ですよね。カジュアルにビジネスに、シーンや人を選ばず、履く者のお洒落度を必ずやアゲてくれる…「白スニ」から離れられない大きな理由は、そこです。

 

そんな「白スニ」の巣窟?となると、やはり「テニス・シューズ」になるワケで、この世界を掘っていくと、その筋の王者として君臨するSTAN SMITH以外にも、多くのモデルがあることが見えてきました。

 

 

そんなことで、今回はadidas・Nike・PUMAというスニーカー界のビッグ3のテニス・シューズにフォーカスしたいと思います!

 

 

さて、テニスにおける世界的な大会というだけでなく、テニスにそれほどの興味を持っていない人々においても相当な知名度を誇っている大会は、ウィンブルドンでしょう。

 

 

大会会場の正式名は「オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ」。センターコートが使われるのは、大会期間中のみだそうです。使用されていない間は、芝の手入れをしている!とか。

 

 

ウィンブルドンは英国ロンドンを会場とし、全仏・全豪・全米オープンと共に「グランドスラム」を構成する4大大会のひとつで、その中でも最古の大会です。

 

「グランドスラム」の中でウィンブルドンは、唯一の芝のコートであり、白いウェアの着用が義務付けられる等、高い格式を持っています。

 

テニス・シューズが「白スニの巣窟」となっているのにも、こういった格式や規律が影響しているようです。

というのも、特にウィンブルドンにおいては「ユニフォームだけでなく、シューズ、靴下、リストバンド、さらにはバンダナに至るまで、選手はほぼすべて白いものを着用しなくてはならない」といったルール(“オールホワイト・ルール”)があり、そのことから「白くないテニス・シューズはない」という状況になっているようなんです。

 

筆者が推して止まない「白スニ」がこれだけ世に生まれたのも、このウィンブルドンの厳しい規律があったからこそ、と勝手に喜んでいるワケです。

 

そんなウィンブルドンの名を冠したモデルは、adidas・Nike・PUMA各社で発売されてました。

 

 

まず、adidasですが、1970年代に入ってすぐにWIMBLEDONを投下します。

このWIMBLEDONは、大会名を冠しただけでなく、当時の名プレイヤーのシグニチャー・モデルにもなっていました。

WIMBLEDONは、まずWilhelm Bungertの名が刻まれ、1970年代中盤には一旦「無記名」となり、その後1970年代後半にTom Okkerの名が明記されるという変遷を辿ってきたのです。

 

 

click! WIMBLEDON Wilhelm Bungert。1970年代に登場したモデルで、西ドイツ製。

 

 

click! 1970年代中期の、プレイヤー名が併記されていないWIMBLEDON。

 

 

click! 1970年代後期のWIMBLEDON Tom Okker。Tom Okkerは1960年代~1970年代に活躍したオランダ人プレイヤー。このモデルには、カンバルー革が使われているとか。

 

 

こういった名プレイヤーたちのシグニチャー・モデルについては、様々なものが存在しますので、次回、詳しく触れたいと思います。

 

 

また、ウィンブルドンの名を冠したモデルは、Nikeからも発表されています。

 

 

click! 1974年に登場したNikeのWIMBLEDON。スウォッシュ・マークがパンチングで描かれた、まさに「オールホワイト・ルール」が順守されたテニス・シューズ。

 

 

adidasからは数年遅れる形で世に出たNikeのWIMBLEDONです。

スウォッシュ・マークがパンチング加工されているのが特徴ですが、芝のコートへ対応するソール(ヨーロピアンシェルソール)が開発・採用され、一時期はIlie Nastaseも着用していました。

 

 

また、WIMBLEDONという名のモデルは、PUMAからも。

 

 

click! 1976年から発売されたPUMAのWIMBLEDON。こちらも、トレードマークがパンチング加工されている。西ドイツ製。

 

 

3社の中では一番後発の1970年代後半に発表されたこのWIMBLEDONも、PUMAのトレードマーク:フォーム・ストライプがパンチング加工で施されているのが特徴となります。

 

 

 

一方で、フォレスト・ヒルズは、かつて全米オープンの会場だっただけでなく、Beatles、Rolling Stones、Bob Dylanといった超有名アーティストたちがコンサートを行った音楽の聖地でもあります。

場所は、ニューヨークのクイーンズのようですね。

 

 

全米オープン会場の正式名は「ウェストサイド・テニスクラブ」。当初は芝のコートだったようですが、その後クレーに。ご覧の通り「テニスコートであり、コンサート会場」ですね。

 

 

FOREST HILLSの名を冠したモデルはNikeから。

 

 

click! 1973年に登場した、NikeのFOREST HILLS。この後継モデルが、TENNIS CLASSIC。

 

 

John McEnroeが着用して人気を博したのは、「WIMBLEDONの台湾製だった」という説と「FOREST HILLSだった」という説があるようですね。

 

 

また、このFOREST HILLSという名のモデルは、Nikeとほぼ同じ時期に、adidasからも発表されています。

(※実物が確認出来次第、すぐにアップさせていただきます)

 

 

そして、全米オープンがこのフォレスト・ヒルズから会場を移した先が、同じニューヨークにあるフラッシング・メドウズ

 

 

フォレスト・ヒルズの後を継ぐ形で、同じクイーンズに造られたフラッシング・メドウズ。コートの正式名称は「USTA・ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター」で、公園に隣接する形で、MLBニューヨーク・メッツの「シティ・フィールド」がある。

 

 

Nikeからは、1980年代に入って、MEADOWなるモデルが登場しています。

 

 

click! 1981年に登場したNikeのMEADOW。このモデルのアップデート版がMEADOW SUPREMEで、マッケンローが着用していたとか。

 

 

John McEnroeは、このモデルのアップデート版も着用していたという話がありますね。

 

 

最後に、デビス・カップを。

デビス・カップは、男子テニスの国別対抗戦を指し、1900年に始まったという大変歴史のある大会になります。

 

PUMAからは、DAVIS CUPというモデルが発売されています。

 

 

click! PUMAのDAVIS CUP。パンチング加工で描かれたフォームストライプに、ベルクロという出で立ちは、なかなかの「クセ強」度。

 

 

このDAVIS CUPは、WIMBLEDON同様、PUMAのトレードマーク:フォームストライプがパンチング加工で施され、また、ベルクロが採用されるというテニス・シューズとしては珍しいモデルになります。

 

 

また、テニス・シューズは、有名な大会の会場となった場所の地名だけでなく、コート自体をモデル名にしたものも発売されています。

 

NikeにはALL COURT、PUMAにはHARD COURTなるモデルが存在していますね。

 

 

click! NikeのALL COURT。1980年代に登場したモデルで、アッパーにはキャンバス生地が使われている。

 

 

click! PUMAのHARD COURT。1970年代のモデルで、こちらはユーゴスラヴィア製。

 

 

ALL COURT1980年代に登場したキャバス生地のモデルHARD COURT1970年代のモデルとなっています。

 

 

 

<画像を押下すると、それぞれの商品に関する投稿ページが閲覧出来ます>

 

 

 

ここまで、テニスの国際大会の会場となった地名を冠したモデルを中心としたテニス・シューズにフォーカスみましたが、いかがでしたでしょうか?

 

 

次回は、引き続きadidas・Nike・PUMAから発売されたテニス・シューズを追ってみますので、お楽しみに!

 

 

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