Above The Rest!
- adidas COUNTRY㊤ -
2025年9月13日
スニーカーの銘品・傑作にフォーカスし、歴史や文化的背景も織り交ぜながら、その魅力に迫るブログ企画。
この企画の目玉のひとつは、取り上げたスニーカーを画像で確認出来ること。これを実現するにあたっては下北沢のヴィンテージ・スニーカー・ショップ:somaさんにご協力をいただいています。世界に誇るsomaアーカイブを通じて、偉大なるスニーカーたちのストーリーをよりリアルに体感して下さい!
ということで、第6弾となる今回は、adidasのCOUNTRYを取り上げたいと思います!
COUNTRYは、1972年にクロスカントリー用のスニーカーとして誕生しました。
初めて開催されることが決まったクロスカントリーの世界大会に向けて開発が進められ、舗装されていない道でのランニングを想定し、固さの異なる二層のソールとガムラバーで作られたソールが前後で巻き上げられているといった特徴があります。
素材にはカンガルーのレザーが使われましたが、COUNTRYが長きにわたりその存在感を示すことになる大きなポイントは、ラスト(木型)は極めて細く、つま先がT字型に補強されているといった意匠でしょう。
COUNTRYはフランスで生産されていましたが、当時アメリカで爆発的な流行となっていたジョギング・シーンに受け入れられ、その結果、日本でもヒットした格好です。
COUNTRYは、ほぼ「毎年」ともいうべき頻度で小さな仕様変更を重ねてきました。その中身は一般的にはマニアックに過ぎることかもしれませんが、これを理解することはCOUNTRYの年代判別を可能とすることから、出来る限り実物も見ながら、その変遷を追ってみたいと思います。
いきなり大変貴重な一品の登場になりますが、こちらが1972年に発売された最初期モデルになると思われます。
三本線と踵はベロア、つま先の補強はまだ小さく、履き口にパッドが無い仕様となります。
1970年代の中期以降に発売されたモデルでは、つま先がT字型となりました。
そしてこちらが、1976年のモデル。
ここでは、踵のベロアが大きくなっています。
ここまでの一連の変遷を、筆者は勝手に「COUNTRY、クラシックの時代」と呼んでいます。
ベロアで作られた三本線や踵の質感、そしてまだトレフォイル・マークが表示されていないことによるミニマルな印象は、この時期特有のものであり、「クラシック」と呼ぶにふさわしい雰囲気だと感じています。
そうなると、ここから以降は「COUNTRY、近代化の時代」となるでしょうか。
1977年あたりには、「三本線と踵が、ベロアからビニールに変更」と「踵に、トレフォイル(三つ葉マーク)とadidasマークをプリント」という、非常にわかりやすい仕様変更が加えられました。
良し悪しは別として、素材が醸すクラシック感は、かなり減退した印象です。
ただ、シューズ全体がビニールの質感で包まれた一方で、トレフォイル・マークが表示されたことは、adidasにおけるアイコニックな存在感を強く印象付けたと思われます。
なお、COUNTRYの日本での発売はこの頃から開始されたようですね。
1978年からは、ヒールを補助する目的から「ステッチが「く」の字」に。
よく見ないとわからない変更かもしれませんが、見慣れると大きな違いに見えてきます(笑)。
そして、1980年代に入ると、ステッチが2本に。
1985年に公開された映画「ビバリーヒルズ・コップ」で、エディー・マーフィーがLevi’sの501と共に着用していたCOUNTRYも、恐らくこのあたりのモデルと推察します。
因みに、COUNTRYのフランスでの生産は1990年代初頭まで、との情報があります。「オリジナルCOUNTRY」は、この辺までを指すことになりそうですね。
ところで、COUNTRYといえば「ホワイト×グリーン」。
皆さんのイメージもそういったことで固まっているのではないでしょうか。
しかしながら、一時期はこのCOUNTRYに、ネイビーやトリコロールが登場したとの情報がありますし、1990年代に入ってからは、日本独自企画でボディがグリーン、レッド、オレンジとなったモデルが発売されたとの情報もあります。
(いずれも、筆者として実物は未確認なので恐縮ですが)
一方で、このCOUNTRYの表情を決める「細いラストに、つま先のT字補強」といったフォルムは、長い歴史を持つadidasが発売してきたトレーニング/ランニング・シューズにも一貫して見られるものです。
クロスカントリー向けとなるCOUNTRYと、トレーニング/ランニング向けのシューズという、用途の異なる両者が、デザイン面で共通項を持つに至ったのはナゼなのか?
この「adidasが、陸上での競技シーンに投下したアイテムたち」の全体像に迫ることは、COUNTRYという銘品を立体的に捉えることに繋がるのではないか、と思っている次第です。
次回は、その辺にアプローチ出来ればいいなと。
<画像を押下すると、それぞれの商品に関する投稿ページが閲覧出来ます>
ここまで、COUNTRYが生まれた背景や仕様の変遷にフォーカスしてみましたが、いかがでしたでしょうか?
次回は、引き続きCOUNTRYの魅力にフォーカスすると共に、COUNTRYと共通するデザインを有するモデルを追ってみますので、お楽しみに!
UniverGoods








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