Above The Rest!
 - adidas COUNTRY㊤ - 

 

 

スニーカーの銘品・傑作にフォーカスし、歴史や文化的背景も織り交ぜながら、その魅力に迫るブログ企画。

 

この企画の目玉のひとつは、取り上げたスニーカーを画像で確認出来ること。これを実現するにあたっては下北沢のヴィンテージ・スニーカー・ショップ:somaさんにご協力をいただいています。世界に誇るsomaアーカイブを通じて、偉大なるスニーカーたちのストーリーをよりリアルに体感して下さい!

 

ということで、第6弾となる今回は、adidasのCOUNTRYを取り上げたいと思います!

 

 

 

 

COUNTRYは、1972年にクロスカントリー用のスニーカーとして誕生しました。

 

初めて開催されることが決まったクロスカントリーの世界大会に向けて開発が進められ、舗装されていない道でのランニングを想定し、固さの異なる二層のソールガムラバーで作られたソールが前後で巻き上げられているといった特徴があります。

素材にはカンガルーのレザーが使われましたが、COUNTRYが長きにわたりその存在感を示すことになる大きなポイントは、ラスト(木型)は極めて細くつま先がT字型に補強されているといった意匠でしょう。

 

COUNTRYはフランスで生産されていましたが、当時アメリカで爆発的な流行となっていたジョギング・シーンに受け入れられ、その結果、日本でもヒットした格好です。

 

 

COUNTRYは、ほぼ「毎年」ともいうべき頻度で小さな仕様変更を重ねてきました。その中身は一般的にはマニアックに過ぎることかもしれませんが、これを理解することはCOUNTRYの年代判別を可能とすることから、出来る限り実物も見ながら、その変遷を追ってみたいと思います。

 

 

 

いきなり大変貴重な一品の登場になりますが、こちらが1972年に発売された最初期モデルになると思われます。

 

click! これが、最初期モデル!三本線がベロアで出来ており、つま先の補強はまだ小さく、T字型にはなっていない。

 

三本線と踵はベロア、つま先の補強はまだ小さく、履き口にパッドが無い仕様となります。

 

 

1970年代の中期以降に発売されたモデルでは、つま先がT字型となりました。

 

click! 三本線と踵の作りはベロアのまま、つま先の補強がT字型に。

 

 

そしてこちらが、1976年のモデル

 

click! このモデルでも、三本線と踵の素材はベロアままだが、踵のサイズはそれまでよりもかなり大きくなっている。

 

ここでは、踵のベロアが大きくなっています。

 

 

ここまでの一連の変遷を、筆者は勝手に「COUNTRY、クラシックの時代」と呼んでいます。

ベロアで作られた三本線や踵の質感、そしてまだトレフォイル・マークが表示されていないことによるミニマルな印象は、この時期特有のものであり、「クラシック」と呼ぶにふさわしい雰囲気だと感じています。

 

 

そうなると、ここから以降は「COUNTRY、近代化の時代」となるでしょうか。

 

 

1977年あたりには、「三本線と踵が、ベロアからビニールに変更」と「踵に、トレフォイル(三つ葉マーク)とadidasマークをプリント」という、非常にわかりやすい仕様変更が加えられました。

 

click! それまでベロアだった三本線と踵がビニール製に変更されることに。

 

良し悪しは別として、素材が醸すクラシック感は、かなり減退した印象です。

ただ、シューズ全体がビニールの質感で包まれた一方で、トレフォイル・マークが表示されたことは、adidasにおけるアイコニックな存在感を強く印象付けたと思われます。

 

なお、COUNTRYの日本での発売はこの頃から開始されたようですね。

 

 

1978年からは、ヒールを補助する目的から「ステッチが「く」の字」に。

 

click! ステッチが「く」の字になったのは、ヒールの補強度を上げるためだとか。

 

よく見ないとわからない変更かもしれませんが、見慣れると大きな違いに見えてきます(笑)。

 

 

そして、1980年代に入ると、ステッチが2本に。

 

click! 踵から土踏まずにかけて二本のステッチがあるのがわかると思います。

 

 

1985年に公開された映画「ビバリーヒルズ・コップ」で、エディー・マーフィーがLevi’sの501と共に着用していたCOUNTRYも、恐らくこのあたりのモデルと推察します。

 

コーディネートとしては割とベタな気がしますが、この足の長さは全てをカッコ良くまとめあげてますね。

 

 

因みに、COUNTRYのフランスでの生産は1990年代初頭まで、との情報があります。「オリジナルCOUNTRY」は、この辺までを指すことになりそうですね。

 

 

ところで、COUNTRYといえば「ホワイト×グリーン」

皆さんのイメージもそういったことで固まっているのではないでしょうか。

 

 

しかしながら、一時期はこのCOUNTRYに、ネイビーやトリコロールが登場したとの情報がありますし、1990年代に入ってからは、日本独自企画でボディがグリーン、レッド、オレンジとなったモデルが発売されたとの情報もあります。

(いずれも、筆者として実物は未確認なので恐縮ですが)

 

 

一方で、このCOUNTRYの表情を決める「細いラストに、つま先のT字補強」といったフォルムは、長い歴史を持つadidasが発売してきたトレーニング/ランニング・シューズにも一貫して見られるものです。

 

クロスカントリー向けとなるCOUNTRYと、トレーニング/ランニング向けのシューズという、用途の異なる両者が、デザイン面で共通項を持つに至ったのはナゼなのか?

 

この「adidasが、陸上での競技シーンに投下したアイテムたち」の全体像に迫ることは、COUNTRYという銘品を立体的に捉えることに繋がるのではないか、と思っている次第です。

 

次回は、その辺にアプローチ出来ればいいなと。

 

 

 

<画像を押下すると、それぞれの商品に関する投稿ページが閲覧出来ます>

 

 

 

ここまで、COUNTRYが生まれた背景や仕様の変遷にフォーカスしてみましたが、いかがでしたでしょうか?

 

 

次回は、引き続きCOUNTRYの魅力にフォーカスすると共に、COUNTRYと共通するデザインを有するモデルを追ってみますので、お楽しみに!

 

UniverGoods

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